ビタミンKは腸内で生成されるため、健康的な成人であれば基本的に不足することはない栄養素です。
しかしながら、抗生剤の投与などにより腸内細菌が減って腸内環境が整っていない状態にある場合や、ダイエットや食欲不振などにより外部からのビタミンK摂取が極端に少なくなった場合、そして閉塞性黄疸を発症した場合には注意が必要です。
ここではビタミンKの働きや不足した場合の症状、そして、なぜ青汁がビタミンK不足の解消にオススメなのかについて説明します。
ビタミンKの働き
ビタミンKには下記の働きがあります。
・血液凝固作用 ・骨形成の促進 ・動脈の石灰化抑制 |
第一の作用として挙げられるのが血液凝固作用です。血液が固まるために必要な物質が分泌されるときに、補酵素として働きます。したがって、ビタミンKが不足すると血液凝固のために必要な物質の形成が遅くなり、出血を止めるのに時間を要してしまいます。
次に、骨の形成という効果について。骨の形成物質の一つである特有のタンパク質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させ形成を促す、という効果がビタミンKにはあります。実際に骨粗しょう症の治療薬としてもビタミンKが用いられています。
最後に、動脈の石灰化抑制効果についてです。まず、石灰化とは何か。これは、本来柔らかいはずである組織が硬くなってしまうことを意味します。原因は、カルシウム不足です。血液は一定のカルシウム濃度を保とうとする機能があり、不足すると、既存の骨を溶かしてカルシウムを補おうとします。そこで溶けだしたカルシウムが動脈に沈着し、石灰化してしまう現象が動脈の石灰化です。動脈が石灰化すると、血管がもろくなり、血管壁が破れてしまうことも。
これを予防するには必要量のカルシウムを摂取し、丈夫な骨を形成することが重要です。先ほど説明したように、ビタミンKにはカルシウムを骨に沈着させ形成を促す効果があります。ビタミンKを補うことが、血管の健康にも繋がるのです。
ビタミンKが不足するとどうなる?
上項でも述べた通り、ビタミンKは血液や骨の健康をつかさどるビタミンですので、ビタミンKが不足すると下記の症状が出ます。
・出血する確率の上昇 ・新生児メレナ(下血・吐血・消化器系の臓器からの出血症状) ・動脈の石灰化 ・骨折や骨粗しょう症の促進 |
体内でビタミンKを生成する機能がまだ十分に発達していない新生児は、消化器系からの出血などの症状を引き起こす危険性があるため、注意が必要です。現在では、出生時、退院時、そして一か月健診時の三回にわたりビタミンKのシロップが新生児に投与されるので、基本的にきちんとプロセスを踏めば発症を防ぐことはできます。
成人の場合、健康な状態であればほとんど不足する可能性はありませんが、冒頭で述べた腸内環境の悪化や栄養不足、閉塞性黄疸の発症などが起きた場合には上記の症状が発症しうるので、安心しきることはできないのです。
特に女性はダイエットなどで栄養が十分に摂れていない場合もありますし、便秘で腸内環境が著しく悪化している方も気を付けていただきたいです。
青汁がビタミンKの補給に効果的な理由
青汁には生野菜350gと比べて2.4倍のビタミンKが含まれています。
ビタミンKの一日に必要な摂取量は150㎍ほどと少量のため、モロヘイヤやホウレン草のおひたしを1鉢や納豆1パック、あるいは鶏肉約300gほどを毎日摂取できていれば問題ありません。そのため、青汁を摂っておけば、基本的にビタミンK不足になることはないといえるでしょう。
また、ビタミンKだけでなく、腸内環境を改善するのに役立つ食物繊維やオリゴ糖が摂取できること、そして低カロリーであることからも、ダイエット中であったり便秘でお悩みの方にもおすすめしたい飲み物なのです。腸内環境を整えることで、体内でビタミンKを生成する機能を正常に保つことができるので、一石二鳥です。
ビタミンKは摂取が簡単ではあるものの、血液や血管、そして骨の健康には欠かせないビタミンであること、また、多量に摂取しても健康被害が報告されていないことから、積極的に摂取したいビタミンの一つです。ビタミンKを外から補いながら、同時に、体内で生成するための環境づくりの一環として、ぜひ青汁を上手く活用してください!